小さな初恋

健斗くんはそう言うと、

あたしの横に座った。



「なにかあったの?」


部活の帰りなのか、

ジャージ姿に、大きなエナメルのカバンを抱えていた。



「…ちょっと…」


少し言いにくい気がして、

あたしは黙っていた。



友達のお兄ちゃんに、

“今フラれたんです"


なんて、恥ずかしくって言えるはずがない。