漆黒の少女



…苓士だ。


「おい、若が通るんだぞ。道あけろや。今すぐ退かねぇと…」


「ゴホンッ!!」



あたしがわざとらしく咳をしたら、やっと苓士が顔を上げた。


バチッ


目がバッチリ合った。


苓士はあたしの顔を見ると、目を見開き少しずつ後退りした。



「………あはははは。」


「…何様だよ。」


「……すみません。」



朝とは立場が逆転した。