運転している煌大に出来るだけ耳元で話しかける。



「次の信号、左。そしたら、右側にあるマンション。」



「わかった。」


家を教えてしまったが…。



うん…。


どうせ、“双葉嘉恋”の時だけの家だしいいか。



…煌大の運転は見事に信号無視。


だから、すぐに家に着いた。



「着いた。」


「…わざわざありがとう。」



ヘルメットを外して、煌大に返した。



そしたら、そのとき





クシャッ




煌大があたしの頭をクシャッと撫でた。


「またな、嘉恋。」




そう言うと、バイクの騒音を響かせながら去っていった。