柚葵side






「おらぁぁああああ!!!」



ボコッ



ドカッ




鈍い音が暗闇に響く。





「ふぅ・・・・。まだいるのか。」





繁華街で絶賛お暴れ中のあたし達おーしゃん。





その周りにいるのはたくさんの椿鬼の下っ端たち。





なかなか人数が多くて、あたしたちは息があがってくる。





「そろそろ・・・・ケリつけたいんだけどね。」





長い金髪に汗を滲ませ、千奈津が緑の目を辺りに向ける。








「もう、やられねぇぜ。 柚葵。」







突然聞こえてきたのは、聞き覚えのある懐かしい声。





「・・・・え。」






声のする方へ目をやる。





下っ端の中から出てきたのは懐かしい、







「万里兄・・・沙里兄・・・。」






紛れもないあたしのお兄ちゃんたち。








「え? お兄ちゃんっ?」






晴が興味津津な目で万里兄と沙里兄を見る。







万里兄と沙里兄はあたしの一つ上のお兄ちゃん。




2人は双子で、小さな頃からいつでも一緒。



そんな小さな記憶しかあたしの中にはない。





両親の離婚で別れてから、一度も会ってないのだから。








「久しぶりだな、柚葵。 しばらく見ない間にべっぴんさんになったな。」




「今までさんざんやられてきたが、今回はそうもいかないぞ。」






その場が静まる。




誰もがあたしたちのやりとりを見ていた。





「どういう意味??」





万里兄の言葉はスルーしたとして、沙里兄の言っている意味が分からない。






今までさんざんやられてきた??



あたしはここ数年万里兄や沙里兄に会った記憶は無い。




なのに沙里兄は『やられてきた。』と言っていた。






「繁華街は俺らのテリトリーって言えば分かるか?」







万里兄は静かにあたしをにらむ。