「つまり、、、不良高校生たちの兄妹って事ですかね?」
「そういうことだ。」
ここにいる全員が理解したようだ。
「そこでだ、お前らの弟や妹、俺の妹たちは、これからも非行に走るつもりだ。もちろん、限度なんて知らずに。だから、俺らで更生するんだ。 もう警察や親に頼るほど俺らは子供じゃない。」
小さなバー。
その中で話すには少し不似合いな気がする。
「つまり、それって俺たちがあいつらをなんとかするって事っスかー?」
1つ学年が下の佐伯が訊く。
今までの上城の話を聞く限りだとそうなる。
「そうだ。 もう世間に迷惑を掛けてるあいつらはほっとけない。」
「俺はその話、のるぞ。」
突然、今までほとんど話さなかった、八雲が入ってくる。
「のるって、八雲・・・。」
「航平がヤンチャやっているのは知っていた。あいつは自分の殻に閉じこもっているだけだ。辛いから逃げている。これじゃダメだからな。」
焦る理香子ちゃんを遮り、堂々とした態度で空気を鎮圧させる。
いいお兄ちゃんだな。見た目からは無頓着そうなのに。
だいぶん失礼な事を考える。
「俺も、のるっすよー? 晴も航平くんと同じ感じだしー。」
「あ、あたしもです。柑の考えてる事、知りたいし・・・・。」
「おし。お前らは賛成だな。 残るは・・・お前だけだぞ、笠原。」
全員の視線が俺に来る。
千奈津の更生・・・? そんなの俺にできっこない。
「千奈津の抱えてるモン一緒に背負ってやる。 それが兄の指名だと俺は思うが。」
芯の通った目で上城は俺を見る。
どうしようか・・・。
でも、『やらない』と『できない』は違う。
少し、のってみるのもいいかもしれない。
後悔をする前に。