「それで、何だよ。急にこんなとこ集合だなんて。」
小さなバーの一角。その隅でなにやら怪しい集団。
その中に俺はいる。
集まっているメンバーは中学が同じだったらしき人物。
顔は知っている程度で、数名は名前までは知らない。
「お前には何も話してなかったな。」
目の前でこの場を仕切るのは中学時代の同級生。
こいつは比較的クラスで目立っていた方だったから良く覚えている。
大人しかった俺にはコイツがまぶしくて仕方がなかった。
コイツになりたいと思ったし、コイツと話してみたい。とも思っていた。
だが、高校に入り俺たちは別の高校に行き顔を合わせる事は無くなった。
ほんの数日前。
こいつ、上城稀里からの連絡は突然で、内容はとても予測がつかない『次の土曜、俺の指定した場所に来てほしい』という事だった。
心当たりは全く無く、からかわれてるのかと思いつつも半信半疑でここに来た。
「全員集まったな・・・。早速だが本題だ。俺たちここにいるメンバーの共通点何だと思う??」
このメンバーの共通点・・・??
「中学が同じ・・・??、学年は違いますけど。あたしが一年だった頃上城先輩が三年だった記憶があります。」
少し大人しそうな女の子が答える。
この子は・・・、「椎原 理香子です。」
俺の心が読めたのか、いいタイミングで自己紹介をする。
「あ、う、うん。俺は笠原 悠斗。」
「俺は佐伯 燐です~。」
「八雲 航大。」
それにつられてみんな自己紹介をする。
「椎原、佐伯、八雲・・・ってもしかして、みんな弟か妹いたりする?」
確か聞いた事がある。
俺の妹、千奈津は世間でいう不良というヤツで。
高校には行けたものの、不登校になり非行の道に走った。
そんな妹と一緒に溜まっている人の話をいつか聞いた事がある。
その中で、椎原、佐伯、八雲と言う名前が出てきた。
「ここにいるメンバーは全員その兄弟・・・とか? 違うか? 上城。」
すぐ横にいる上城に顔を向ける。
やつの口角は少し上がっている。
・・・・当たりか。
「よく分かったな。 やっぱ学年トップなだけ頭の回転はえーんだな。」
褒めてるのか、けなしているのか、彼は体制を立て直す。