「学校では上手くやってんのか?」
上手くやってる…のならば、今日みたいな事件は起こさないはず。
「まぁまぁじゃない?」
本当は聞かなくても分かってるんだろうけど。
「そうか…。」
物音1つしないリビング。
何も変わっていないこの風景。
懐かしさで涙が零れてきそうだ。
「万里兄、沙里兄いるんでしょ?」
あたしは少しだけ開いた扉を見つめる。
「なんだ、気づいてたのかよ。」
「万里がガタガタ言わすから…。」
予想通り、扉の向こうから出てきたのはつい先日、一戦交えた万里兄と沙里兄。
「お前ら、柚葵に見つかるとはまだまだだな。」
稀里兄が苦笑する。
…気づいてたくせに。


