柚葵side



懐かしい感覚。



昔はこうやってよく稀里兄のバイクの後ろに乗せてもらっていた。


親が離婚してからは全く無くなってしまったけど、昔は仲の良い兄弟だったはず。



そんなことを考えながらまわりの景色を眺める。



あぁ、懐かしい。



ついた所は昔のあたしの家であり、今の稀里兄たちの家。



「入れよ。」



稀里兄がドアを開け、私に入るようにと催促する。



「おじゃまします。」



懐かしい匂いが、肌を掠めた。