リビングにおーしゃん幹部の全員が集まった。
誰一人口を開かないこの場で、静かに晴が切り出す。
「もう、だいたい分かってるかも知れないけどよ、分かったんだ。航平を襲ったやつが。」
「それは確信で…?」
「あぁ。たまたま城東に張り込んでいた奴らが話を聞いたらしい。」
黒幕は城東にいるのか。
だけど、なんでそんな事を…。
「航平に何の恨みがあるかは分からねぇが、今から乗り込みたい。
今、授業は終わっている頃だと思うが、城東は部活動が盛んな学校だ。
奴らが残っている可能性はありえる。」
晴の言っている事はかなり無茶がある。
残っているとはいえ、どこにいるかも分からないだろうし、万が一他の生徒に怪我をさせてしまう様な事があればそれは一生懸命償わなければならない大変な事だ。
「俺の考えはこれだけだ。後は柚葵の判断で。」
みんなの視線が柚葵にいく。
柚葵は難しそうな顔をしながら、静かに口を開く。
「晴の言葉から、城東にいるのは確かだな。
だが、乗り込みはまだ待とう。あまり早まると、上手くいかなくなってしまう。」
「でも…っ!こうしている間にも、航平は、苦しんでいるんだぞ…っ!」
柚葵の言葉に千奈津が反論する。
柚葵の気持ちも千奈津の気持ちもよく分かる。
だけど、ここは落ち着いて行くのが最適な道だ。
「千奈津、落ち着け。柚葵の言う通りだ。もう少しだけ情報を集めよう。そこでまた話し合えばいい。どちらにしろ乗り込む事にはかわりないんだから。」
俺の言葉に千奈津は拳を握り悔しそうに体を震わす。
綺麗な金髪が、風になびく。
誰も何も言わない。
この場がまた、静寂に包まれた。