「香住さん!! あなたまたレポート未提出ですよ!!」
「はいはい」
「先日のテストも、受けなきゃいけないんですよ!!」
「はいはい」
「いつもいつも、適当な事ばかりして!! 自覚あるの!?」
「はいは~い」
「・・・1+1は?」
「はいはい」
「香住さん!!!」
あ~うるさい!
職員室の一角の『生徒指導室』。
その室内で私、香住 柚葵(カスミ ユズキ)は担任の土田先生(通称ツッチー)から、溜まりに溜まった生徒指導を受けていた。
全くとんでもない部屋を作ったもんだ。
この部屋のおかげでどれだけの人が犠牲になったのだろう。
「香住さん!! 何ぼーっとしてるんですか!」
「はいはい。とりあえず、話を簡潔にまとめると?」
溜まった鬱憤を晴らそうと必死になるツッチーの気持ちは分かる。
だがしかし、私にも時間と言うものがある。
かれこれ、説教をはじめて1時間は経っている。
「何事にもちゃんと取り組む事です。」
「はいはい。なら、今日はこれで失礼しますね?」
早く帰ろう。
今日は疲れちまった。
「はぁ。行きなさい。授業にはちゃんと出席しなさいね?」
「は~い。」
生ぬるい返事を返した私は、生徒指導室、及び職員室から足早に去って行った。