「なんか、俺らの兄たちよからぬ事、たくらんでるらしいよ?」
おーしゃんの全員共通の『リビング』
そのソファーに座り、たばこ吸う航平に身体を向ける。
無表情のその顔じゃ、何が言いたいかよく分からない。
「つまりな、俺ら全員上に兄弟がいるだろ? そのお兄様方が俺らを更生するかなんかで組織作ってるらしーの。」
組織・・・・?
「俺も良く分かんないんだけどね。 最近俺、兄によく話しかけられるのさ、それで何だろうと思っていたら。 そーゆー事らしい。」
「え、なにそれ・・・。」
みんな誰ひとりいい顔をしていない。
正直、ここにいるほとんどは家族といい関係ではない。
あたしなんか、一応一緒に住んでいる母親とはもう二ヶ月も顔を合わせていない。
それでも、まだマシな方。
千奈津の家。
笠原家はたくさんの会社を傘下に持つ『笠原グループ』の代表取締役を当主に持ち、その跡取りを育てるため、小さな頃から英才教育を必須とするとても厳しい家系。
もともと女子だという事で違う目で見られてきた千奈津に、それ以上に厳しい環境だなんて耐えられる訳もない。
そんなこんなで皆色々あるのだ。
「今まで放っておいた兄貴たちにどうこういわれる筋合いなんていまさらねぇよ。」
これが今のあたしたちだ。
なんで今さら。
それでも、軽く考えていたあたしはまだまだダメだなと。
知らされることになる。