「お前からかかってこい。」
あたしと対等に、万里兄が飄々と立つ。
「いけー、万里さん!!」
「こんな女倒しちゃえー!」
「そうだそうだ、こんなまな板女倒しちゃえー!」
・・・・・・・・。
「・・・・ぷっ。」
・・・絶対に許さん。
「万里兄ぃー! 今笑いやがったな!」
「だ、だってよぉ~、まな板だってよ・・・ぷっ。」
・・・・・くっそぉ~~。
「絶対に勝ってやる・・・・。」
あたしの闘争心(??)はメラメラと燃えている。
「おりゃぁ~!」
あたしは拳に力を入れ、万里兄目がけて一気に振り下ろした。
ドスッ・・・
鈍い音が辺りに響く。
あたしの拳は万里兄の鳩尾をしっかりと仕留めていた。
「あ。」
沙里兄が声を漏らす。
「ま、万里さんが・・・・っ」
ギャラリーが騒ぎ出す。
どっかから、パトカーの音も聞こえる。
「今日はこれまでだね。」
あたしはおーしゃんの方を向く。
「さぁ、戻ろう。」
柑の優しい声が響く。
「なら、またな。」
あたしたちは我が兄、椿鬼一群を背に、店への道のりを急いだ。


