「柚葵。タイマンはろう。」
あたしと万里兄たちとのやりとりの後、おーしゃんのメンバーが応援にやって来て、今は椿鬼の下っ端と戦っている。
あたしたち、おーしゃんリーダーは椿鬼の幹部と1対1で戦っている。
キリがつかない所で万里兄が言いだした。
「それは、あたしと万里兄で?」
パンチを交わしながら万里兄に訊く。
「そうだっ。キリがない。」
「・・・・分かったよ。」
あたしの了承の声で万里兄は攻撃はやめ、それを合図に椿鬼のメンバーもおーしゃんのメンバーもケンカをやめ、あたし達を見る。
「・・・柚葵、本気か?」
柑が耳元で呟く。
心配してくれてるんだろうけど、あたしにはそんな心配も必要ない。
「絶対勝って、万里兄を見返してやるよ。あいつ、女だからって舐めきってるからな。」
「へっ、よー言うぜ。 少し前までピーピー泣いてたくせによぉ。」
柑に返したつもりだったけど、どうやら聞こえたらしい。
今までの万里兄の戦いははっきり言って、本気じゃあない。
拳も脚もゆるゆるだし、その隙を狙って攻撃したらかわされる。の繰り返し。
あんだけ俊敏にかわせるんだったら、拳も脚ももっと強いはずだ。
「おーしゃん代表として、椿鬼を蹴飛ばしてやるよ。」
ニヤっと柑が笑う。
それに釣られてあたしも笑う。
…今日は貰い笑いが多い日だな。
「なら、始めようか。」
「後悔してもしらないよ。万里兄さん。」
あたしは挑発的な目で、万里兄は真剣な目でお互いを見る。


