【宗吾side】

・・・朝。

仕事に行く前に、

急に思い立って、あの庭園に向かっていた。

駐車場に車を止め、

庭園を散歩する。

・・・

いつも、昼間か夕方にしか来なかったためか、

朝の庭園もいいものだと思いながら、

歩いていく。

…ふと。

オレの前方に人が立ち止っていた。

・・・

少し遠めだったため、

顔ははっきりしなかった。

あまりジロジロと見るわけにもいかず、

目線を逸らして歩いた。

・・・

彼女の横を通りすぎる時、

懐かしい香りがした。

花とは別の甘い香り。

・・・香水なのか、柔軟剤なのか・・・

それは定かではないが・・・

気になった私は、彼女の顔をチラッと見た。

…どこかで見たような。

でも顔を逸らされ、

どんな顔なのか、よくわからない。