【澪王】



大事なモノを自分の手で傷つけた時の胸の痛みはハンパない。



なんであんなにキレてしまったのか、自分でも謎。



「ソレはお前が悪い」

「反省した…」

「まぁ、連日仕事詰めで俺たちはめちゃくちゃイライラしてるし?レイに対してプチッとイっちゃった気持ちも分かるけどな」

「マジであのメガネ、俺をバカにしやがって…。絶対シュリが好きだ…」

「俺なら蹴り飛ばしてメガネ割ってただろうよ」



笑いながらそう言ったアツシ。



本当は殴ってやりたかった。



だけど俺の腕の中にはシュリがいて…。



シュリにそんな汚いモノを見せたくもなくて。



後部座席でアイツの服を着たままグッタリしてるシュリを見る度、どうにもできない感情にイライラした。



最終的にはシュリに当たるっつー最低な俺。



アレはフラれてもおかしくねぇっての…。



「マネージャーなんてクソだな!!」

「すみません、クソで。仕事の時間ス」

「あっ、お前もクソだ。俺らを過労死させてぇんだろ?」



イライラが治まらねぇ…。