私は何が何だか分からずに呆然としていた。 ただ一つ分かるのは、目の前の栗色君に助けて貰ったという事。 ……取り敢えずお礼を言おう。 「ありがとうございました」 「いや、大丈夫!それより君は大丈……」 栗色君はゆっくり振り返った。 そして私と目が合った瞬間…… 私は固まった。 胸が一瞬強く締め付けられたから。 ……その痛みは何だか見覚えがあるような気がした。