それからどれくらい走っただろう。
見慣れた景色が見えてきた。
「…も、ここまで来れば大丈夫…」
来た場所は、河原だった。
菊池くんは今まで私の腕を掴んでいた手を離して地面に座り込む。
「…菊池くん…どうして…?」
「…たまたま駅前のカラオケのとこ通ったら…北岡さんが知らない人と歩いてんのが見えて、なんか怪しいなって思ったから追いかけてたんだ…」
ハァハァ、と息を切らしながら話す菊池くん。
…じゃあ、もし菊池くんが追いかけてくれなくてそのまま広斗くんといたら私は……
そう思うと、肩が震えた。
「…ありがとう、菊池くん…」
「お礼はいいから。それより、どこ触られたの?」
菊池くんが私の前に来て、少し見下ろした感じになる。
「…太ももだけ…」
そう言うと、罰の悪そうな顔をする菊池くん。
「あいつ…最低だな…」
「けど…菊池くんが助けてくれたから大丈夫だったよ」
そこで、まだボタンが外されたまんまど気付き、慌てて留めた。
「でも北岡さんはなんであんな男と一緒にいたの?」

