「ちょっと待て!」 鞄を持って帰ろうとして呼び止められた。 「帰っていいとは言ってない」 「でも、今日はこれで許してやるって――…」 「送ってくから、ちょっと待ってろ」 「いいです。 今まで一人で帰っていたんだし―……」 意地悪されたことにまだ怒っていた私は本当は先生に送ってやるって言われて嬉しかったのに断った。 「廉が送りたいって言うんだから送ってもらいなさい!」 結局、田口先生にも言われて槇野先生に送ってもらうことになった。