怖いんだ。
怖くて堪らない。
千夏ちゃんや千佳ちゃんに、そう思われることが。
そう言われてしまうことが。
考えるだけで、体が震える。
拒絶反応を起こして、思考回路まで止まってしまう。
でも、千夏ちゃんと千佳ちゃんは、いい意味でそんな考えを裏切ってくれた。
千夏ちゃんも千佳ちゃんも、裏表というものがない人だった。
思ったことは、何でも口にして。
考えたことはわりと顔に正直に出て、面白いくらいに分かりやすくて。
確かに、見た目は派手だ。
メイクだって濃いし、制服のスカートだって短い。
違う人種なのだと、以前の私なら気後れしていたことだろう。
だけど、分かるよ。
今は分かる。
同じ時間を過ごしてきた今、実感出来ること。
この2人なら、信じられる。
この2人は、嘘をつかない。
どんなに純朴そうに見えても、人の心のうちは違うことがある。
純粋そうに見えたとしても、その人が何を考えているかなんて、本人にしか分からない。
人間は、見た目だけで決まるんじゃない。
見た目だけで、全てを見抜くことなんて出来ないのだ。
外見が派手だったとしても、この2人の心は透き通っている。
例えるなら、ビー玉の様に。
透明なガラスで作られたビー玉みたいに、何の曇りもなく、キラキラしてる。
信じるよ。
信じてみたいんだ。
もう1度だけ、他の人を。
誰かと信じてみたいと、そう思える様になった。
そう思わせてくれたのは、この2人の力。
初めて声をかけた私に、笑顔で応えてくれた千夏ちゃん。
疑うこともなく、私を真っ直ぐ受け入れてくれた千佳ちゃん。
2人のお陰。
きっと、この2人になら、心を開ける。
彼女達の心を開ける相手になりたいと、そう思う。
1度は、全てを捨てた。
生まれ育った町を捨て、人間関係も捨てて。
そして、私は生まれ変わった。
全てを捨てて、新たな宝物を手に入れたんだ。
