side・ハル







ずっとずっと、1人だった。

私はいつも、1人ぼっちだ。


最初は違っていた。

仲良くなろうと話しかけてくれる人もいたけれど、目を見て話せない私に愛想を尽かす。


みんな、みんな………離れていく。

私の傍から離れていってしまう。




寂しいよ。

私だって、寂しい。


1人が好きな人間なんて、いない。



言いたい言葉も言えない。

欲しい言葉も、もらえるはずがない。


私は、ずっとこのままなんだ。

1人ぼっちで、孤独なままでこれからも過ごしていくのだと、そう思っていた。




だけど、そんな私にも、友達が出来た。


私を見放さないでいてくれる人。

私に話しかけてくれる人。


内気な私が心を開けたのは、自分とどこか似ていると感じたから。

きっと、自分と同じ境遇の人なのだと、そう思ったから。



大人しくて、いつも教室の端にいて。

みんなの輪の中には入れないでいて。


自分に似たものを感じ取ったからこそ、私は打ち解けることが出来たのだと。









長かった夏休みが終わって、また学校が始まる。

長い休みが終わりを告げた後は、いつだって気分は憂鬱。


私は、現実を思い知ることになるから。

逃げられはしない現実が、私を襲うから。



学校に行けば、またいじめられる。

学校に行けば、また見たくないものを見なければいけなくなる。


磯崎さんのいじめに耐えて。

泣きたいのに、泣けなくて。

逃げ場もない私は、平気なフリをして堪えるしかない。



磯崎さんのあの歪んだ笑顔は、私を震え上がらせる。


磯崎さんに会いたくない。

でもね、それ以上に、紺野くんに会うことの方が怖い。



私は、自分勝手な人間だから。

出来た人間ではないから、まだ願えない。


大好きな人の幸せを。

紺野くんと増渕さんの幸せを、2人の未来を祝福してあげられない。