似たものドウシ

そう思った瞬間に腕を引っ張られ、床に縫い付けられる。
思い切り肩を打ち付けたせいか、肩に痛みを感じ、自分の肩に手を回すと。自分の手とは違う彼の手とぶつかる。
そして、ようやく自分が彼に押し倒されていることに気づいた。
「ーー」
長い前髪から、彼の顔がはっきりと見えた。
「どうして俺を見ている」
「え?」
「朝も、今も」
初めて聞く彼の声に驚いた。
よく通る声だと、
俺は呑気に思っていた。
「どうしてだと聞いているんだ」
表情はそこまで柔らかくなく、険しいもの。
怒ってるのがよく分かった。
どうしよう。
何か弁解しないといけないのに。
なにも出てこない自分の頭の中は真っ白で。ただ、どうしようと焦る一方だった。
何か喋らないと。
彼の鋭い視線に促されるまま、俺はおずおずと口を開いた。
「髪が」
「……髪が綺麗だなーっと思って見てた。その、ごめん。悪気はなくって……」
「……」
打ち明けてしまったという羞恥心と、訪れた沈黙が怖くなってうつむいた。
他にもなにか言うことはあったはず。なのに、髪が綺麗だって。
相手は男なのに、何を言ってるんだ俺は。
真っ赤になっているであろう、自分の頬を長い髪が撫でた。
それは彼が離れたということを意味する。さっきまでの威圧感は減ってはいないもの、立ち上がらせてくれた。
「…………早く帰れ」