「何? 人の顔、じろじろ見て」



ずっと彼女の横顔を見ていたら、ふと彼女と目が合った。



泣きそうになっていることを知られたくなくて、慌てて目を背ける。



「いや、何でもない」


「何それ。変なのー」



彼女はそう言って、さっきまで僕がしていたように夜空を眺めた。



彼女は、笑っていた。クスクスと小さく声を漏らして。


笑顔を見た瞬間、僕の涙腺が再び緩む。



……どうして君は、そんなにも笑っていられるんだ?



何事もなかったように笑顔を見せる君が、僕には不思議でならない。



だけど、少なからずならわかる。

君がずっと、無理をしているってことは――。




「ねぇ。いつも思うけど、星を見てて何が楽しいの? 何が楽しいのか、わたしにはわからないわ」



彼女は首をぐるりと回していた。

どうやら少し空を見上げただけなのに、首が疲れてしまったらしい。