「また、星を見てるの?」
ぼんやりと星を眺める僕の背後で、か細い声がそう言った。
上を見過ぎて疲れた首を、ゆっくりと背後に向ける。
「ああ、そうだよ」
僕の背後に立っていたのは、とても華奢な女。
Tシャツから伸びる腕も、ショートパンツからスラリと出ている脚も、掴んだら折れてしまうのではないかと不安になるぐらい細い。
彼女は艶のある漆黒の長い髪の毛を暑そうに掻き分けながら、僕のもとへやってきた。
そして平然と、僕の隣に腰をかける。
その横顔を、複雑な表情で見ていた。
彼女の肌は白いというよりもむしろ、病弱な青白さをしている。
横から見た顔のラインも、かなりやせ細っていた。
どうして彼女が、こんな風になってしまったのか……。
それを僕はとっくの昔から知っているのに。
今でもこんな彼女の姿を見る度、僕の胸はキリキリと痛む。
苦しいのは僕じゃない。
そう何度も自分に言い聞かせて、すべてを乗り越える決心をしてきた。
それなのに、どうして僕は今、無性に泣きたくて仕方ないのだろう……。