「それって……」

「おばあ様は、ダーレーンとの関係を強化したいのでしょうね――たぶん、だけど」
「それっていいことなんですか?」

「仲良くして悪いってことはないでしょうよ」
「そりゃまあそうですけど……」
「あ、来た来た。こっちよ!」

 エリーシャが手を振る。

「よう、嬢ちゃん」

 エリーシャが手を振った相手は、まだ若い男だった。二十代半ばというところだろうか。アイラと同じような黒い髪に青い瞳がきらきらしている。顎がややしっかりしすぎているし、美形とは言えないが感じはいい。

「元気、パリィ?」
「おう、なんとかな。俺にもビールくれ!」

 アイラは目の前の男が信用できなくて、わずかにエリーシャの方に身を寄せる。いざという時のために、腰の剣――外に出る時には長剣を吊っている――に手が伸びた。

「大丈夫、知り合いだから」
「あいかわらず、べっぴんさんだな。こっちのは友達か?」

 アイラの方に顎をしゃくって、パリィと呼ばれた青年はたずねた。