酔っぱらってきた商人たちの声はだんだん大きくなっていく。あたりを気にしている様子などなかった。

 商人たちの会話に、エリーシャは口を挟むことなく運ばれてきたビールに口をつける。

「レヴァレンド侯爵家はね、ダーレーン貴族の流れを汲んでいるのよ」

 わけもわからず、とりあえず運ばれてきたビールのジョッキを手にしたアイラにエリーシャは説明した。

「ダーシーの祖母にあたる人間が、ダーレーンから嫁いできた人間でね」
「祖母、ですか」

 アイラからすれば、父母ならともかく祖父母の時代となるとはるか昔のことのように感じられる。

「そう、ついでにいうとリリーアとも親戚関係にあたるの」
「そういえば、リリーア様はダーレーンの方でしたね」
「さらに言えば」

 エリーシャは指を一本たてた。

「リリーアは、おばあ様とも血縁関係にある――タラゴナ国内からダーレーンに嫁いだ人間を通じてね」

 アイラは眉を顰めた。