いや、エリーシャを連れ帰るのはかまわないというか、時間を知らせるくらいならできるけれど――というか、皇后にまで押しつけられたのか! そう考えるとめまいを起こしそうだ。

「夜遊びはほどほどにしますわ、おばあ様」

 そそくさと話を切り上げて、エリーシャは席を立とうとする。

「まだ、話は終わっていませんよ」
「だって、レヴァレンド侯爵の長男ってずいぶん年上ではありませんか」
「口答えするのではありません。明後日、午後のダーレーン公用語の学習の時間を、彼との面会の時間に振り替えましたから。いいですね?」

 エリーシャは一瞬、げんなりした顔になりそれを慌ててとりつくろう。

 オクタヴィアは、アイラには優しい笑顔を向けた。

「そういうわけだから、明日の午後はこの娘を逃がさないようにしてちょうだい。あなただからお願いするのですよ?」

 口調は優しいが、言ってることはめちゃくちゃだ。アイラにエリーシャを止めることなどできるはずないのに。