エリーシャが、政治学の授業に行っている間、アイラはイリアとファナと侍女たちの控え室にいた。

 エリーシャは侍女たちには寛容だったから、戻ってくるまではのんびりしていてかまわない。

「ええっ! フェラン様に誘われたの? いいなぁ」

 数種類のオレンジの果汁をたらした水を手に、ファナが嘆息する。

「非番の日に誘うってそれ、かなり好意があるってことよね?」
「違うと思う」

 二度、誘われたのは事実だけれど。

「あの人、女なら誰でもいいってエリーシャ様が言ってたもの」
「わたし、誘われてない――誰でもいいなら誘って欲しかった!」

 ファナが不満げな声を上げた。

「あなたが侍女である以前に貴族だからでしょ」

 冷静にイリアが指摘する。

 アイラが首を傾げると、