「アイラ、あの方は何をするつもりなんだ?」

 エリーシャを見送って、ライナスがアイラの背後から声をかけた。

「わかりませんよ、そんなこと」

 ライナスはエリーシャを心配しているようだが、アイラにだってわからないこともある。

「エリーシャ様のことは、エリーシャ様におまかせしておけよ、ライナス。それよりアイラ」

 フェランが話に割り込んできた。アイラの肩に手をかけようとするのをアイラはするりとかわす。

「非番の日の話なんだけどさ」
「非番の日?」
「一緒に出かけようよ」

 アイラは微笑んだ。フェランが誘ってくれるのは、嬉しいが絶対に何か裏があると思えば受けるわけにもいかない。

「遠慮しておきます、フェラン様。ご自分のご身分にふさわしい女性をお探しくださいな」

 こんなところでいつまでもフェランにつかまっているわけにもいかない。足早に立ち去ろうとするアイラを今度はイヴェリンが呼び止めた。