「あらあら、皇女様と同じ名前だからって中身まで同じというわけにはいかないでしょ」

 悪びれない顔で、エリーシャは店主の運ばんできたジョッキを手に取った。

「まあ、そりゃそうだよな。こっちのお嬢ちゃんは?」
「友達」

 店主は、アイラの方にもにこにことして声をかけてくれる。

「そっかー、エリーシャの友人かい。まあ仲良くしてやってくれよ。彼女も悪い奴じゃないからな」

 アイラはうつむいた。鼻に入ったビールが痛い。ハンカチで鼻を押さえて悶絶していると、げらげらとエリーシャは笑う。

「そうねー、悪い奴じゃないわ、少なくとも」

 どれだけ食べるのかとアイラの方はげんなりしていた。夕食前の酒盛り、夕食もアイラの目には多すぎると思う量をぺろりとたいらげ、そして今はさらにビールにつまみだ。

「このお店、常連なんですか?」

 ようやく鼻の痛みのおさまったアイラは目の前のビールに意識を戻した。