魔術師同士の争いだ。普通の人間であるダーシーに対抗の術はない。本来なら、皇位継承権を皇帝に預けたエリーシャについてくる必要はないのだ。婚約を解消しても、誰もダーシーを責めないだろう。
「なーに? そんな目で見ないでよ。彼とは何でもないんですからねっ」
アイラがまじまじと見つめているのに気がついたエリーシャは視線をそらした。
これはひょっとするとひょっとするのだろうか。
――それならそれでいい。エリーシャに好意を寄せているライナスは気の毒だとは思うけれど。
「荷物詰め終わったかしら?」
「まだ終わらないと思います」
「……終わったら皆で飲みましょ。イリアとファナとはお別れだものね」
「厨房に伝えておきます」
アディリアに行った先で何が待ち受けているのかはわからない――けれど、それまではできるだけ穏やかな日を送りたいとアイラは思った。
「なーに? そんな目で見ないでよ。彼とは何でもないんですからねっ」
アイラがまじまじと見つめているのに気がついたエリーシャは視線をそらした。
これはひょっとするとひょっとするのだろうか。
――それならそれでいい。エリーシャに好意を寄せているライナスは気の毒だとは思うけれど。
「荷物詰め終わったかしら?」
「まだ終わらないと思います」
「……終わったら皆で飲みましょ。イリアとファナとはお別れだものね」
「厨房に伝えておきます」
アディリアに行った先で何が待ち受けているのかはわからない――けれど、それまではできるだけ穏やかな日を送りたいとアイラは思った。



