「ご苦労だったわね、ジェンセン。パリィは?」

「あいつは、ダーシー様の使用人ってことにして睡蓮邸に預けてきました。あそこなら警備が厳重ですし。カーラに言って、結界を再点検させてるところです。終わったら、わたしもカーラに合流します。ベリンダも手を貸してくれ」
「ん、わかった」

 ジェンセンとベリンダの間に交わされた視線で、素早く意志疎通が図られるのをアイラは見た。

「それで?」

 アイラは父が顔を歪めるのを見た。表情を取り繕うのを見られまいとしているかのように、ジェンセンは魔術師のローブを直す。

「クリスティアンで間違いないってことなのね」

 その様子から、エリーシャは瞬時に察知した。

「レヴァレンド邸の使用人たちは、クリスティアンを生きながらえさせるための生贄になったと言うことなのでしょう?」

「ご賢察――でございます。エリーシャ様。ダーシー様、ちょうど今、その話をしていたところなのですか?」