侍女たちは同じテーブルにつくことは許されないから、主たちの食事が終わるまで立って待つことになる。

 互いの侍女たちの間にもぴりぴりとした空気が漂っている。仕える主が皇帝の寵愛を得れば、後宮内での扱いはよくなるのだからこれも当然だ。

 皇位継承者であるエリーシャの侍女たちは、彼女たちとは一線を画しているのだけれど、リリーアの侍女たちと交わす視線には激しい火花が散っていた。

「あら、あなた新しい侍女?」

 一番年かさと思われるリリーアの侍女がアイラに声をかけた。

「ひどく不細工な女を入れたものね、エリーシャ様も」
「後宮内の空気が悪くなるわ」

 申し訳なさそうにアイラは頭を下げることしかできなかった。本来はもう少しましな容姿なのだが――買われた身だ、文句は言えまい。