思わずエリーシャは腰を浮かせた。
 
 テーブルの上についたエリーシャの手に、すかさずダーシーが手を重ねる。ためらうことなくその手を引き抜いて、エリーシャはきちんと座りなおした。

「近頃食欲が衰えているそうですよ。宮廷医師がしばしば呼ばれているようです。理由は過労ということですが――侍女の言葉によれば、毒を盛られていると」

「ああ、混乱してきたわ」

 ソファに背中を預けて、エリーシャは嘆息した。

「ユージェニーを使ってわたしを殺そうとしたのがおばあ様でしょ、おばあ様はダーレーン、そしてセシリーとつながってる。セシリーはダーレーンの人間で、ダーレーンの王族を殺そうとしてる。そして、おばあ様も毒を盛られてる。どことどこがつながっているの?」

「あなたは大丈夫ですよ、エリーシャ様。わたしが命をかけてお守り――」

「間に合ってるわ」

 ダーシーが守ると言ったところで説得力ゼロではあるのだけれど、ここまで無碍にあしらわれると少し気の毒にもなってくる。