折り重なるようにしてアイラたちが転がり落ちたのは、柔らかなベッドの上だった。

「曲者――!」
「違いますってぇ!」

 振り回された鞘の一撃を、アイラはぎりぎりのところでかわす。真剣抜かれる前でよかったと心から安堵した。

「アイラ? ――っていうか、全員揃ってここに落ちてくることないじゃない」

 寝ていたエリーシャは髪をかき上げてため息をついた。

「こ――これにはわけが――いや、し、失礼いたしました!」

 エリーシャに向かって口を開きかけたライナスは真っ赤になって顔を背ける。
 彼がエリーシャに好意を抱いているというのはアイラの見立てであるが、今のエリーシャは就寝中。つまり身につけているのは寝間着だ。

 おまけに今日に限ってやたら薄くて身体の線が透けてしまうような寝間着を選んでいたから、ライナスにとっては思わぬ目の保養――は否定できないにしても、目の毒だ。
 
「ジェンセン、怪我は?」
「痛い」
「わたしが聞きたいのはそこじゃない」