「新しい侍女が来たって?」

 ノックもせずにずかずかと部屋に入り込んできた人物を見て、アイラは目を見張った。

「アイラだそうです。エリーシャ様の護衛侍――」
「……聞いてる。あんた、ちょっとこっちに来て」

 アイラの目の前に現れたのは、華やかな美女だった。見事な金髪は結いもしないでそれ自体が王冠のように輝いている。

 青い瞳はぱっちりとしていて、唇は下唇の方が少しぽってりとしているのが逆に色っぽい。
 
 動きやすいようになのだろう。ドレスではなくて、足首のところで裾を絞ったパンツに刺繍入りのブラウス、それに短めの上着を合わせている。

 彼女の影武者なんて無理じゃなかろうか――そう思いながら、アイラはエリーシャに引きずられるようにして皇女の寝室へと入った。

 入ったとたん、エリーシャは思いもよらない行動に出た。両手がひょいと伸びてきて、アイラの胸を鷲掴みにする。 

「のああああああっ!」

 アイラは大声を上げた。

「……ぺったんこ。これじゃ影武者がつとまらない」