「……あの人、何考えてるんですか?」

 まさか、妹ちゃんの方がいいとかいう発言を本気でしているのではあるまいなと心配しながらアイラはたずねた。

「まあ、馬鹿だな」

 きっぱりとフェランのことを切り捨てて、イヴェリンはフェランから渡された紙を懐に忍び込ませた。

「わたしたち、密偵としてダーレーンに入ったんですよねぇ?」
「そのつもりだったんだがな」

 もっともフェランの大騒ぎのおかげで、アイラたちの存在はかき消されてしまっただろう。

「まあ、ライナスがあの馬鹿騒ぎをとめていないところを見ると、ライナスも賛成したんだろうな」
「ライナス様もとめられなかったんでしょうか」

 食事を終えて部屋に戻ると、イヴェリンはフェランから渡された紙を広げた。