「どっちにしても、フェラン様とライナス様とご一緒は厳しいでしょう。お二人とも、どう贔屓目に見たって身分を偽って遊びに出ている貴族の子弟ってとこです」

 フェランを振り切ったアイラが遠慮がちに申し出る。

「このまま帰れば、ゴンゾルフ様に叱られることになるでしょうし、一緒は無理としても――お二人にもダーレーンに入ってもらったらどうですか?」

「アイラ」

「イヴェリン様一人じゃ心細いとかそういう理由じゃないです。このまま追い返すと、帰ってから後面倒ですよ! ゴンゾルフ様、心配しすぎて泣いちゃうかも」

 アイラの名を呼びかけたイヴェリンだったが、夫の名を出されてつまった。あの男が、意外に泣き虫なのを彼女はよく知っていた。

「わたしとイヴェリン様の先に行くか後に行くかは別として、お二人にも同行してもらいましょうよ」

 さすがに、いつまでもここで押し問答しているのは「めんどくさい」などと本音を出すわけにもいかなかった。