「ここから先は、騎士団員の中でも選ばれた者しか入ることしか許されない」

 そう説明して、イヴェリンは扉を守る騎士たちに扉を開くように告げる。

 似たような扉をもう一つくぐる――この扉を守ることができるのは、騎士団員の中でも高位の者なのだそうだ。

 そこからいくつかに別れた通路のうちの一本を進んでいき、再び扉の前に立った。

「ここが皇女宮だ。この扉を守るのは皇宮騎士団の中でも、皇女付きの者――皇女近衛騎士団にのみ許されている。フェランとライナスもそうだな」

 アイラは扉の両脇を守る男たちを見つめる。彼らはアイラに見つめられても、微動だにしなかった。

「ここから先は本当に選ばれた者しか入ることはできない――よほどのことがない限りはな。皇女近衛騎士団では、わたしと夫だけだ。外に出かけたい時は、わたしの許可をとってくれ。簡単に許可を出すわけにはいかないがな」

「……わかりました」