「やれやれ。この屋敷、死人の集まりですなーいやあ、楽しくてしかたない」

 にやにやしながら、アイラの父であるジェンセンが庭園へと出てくる。

「ベリンダ、二階の一番東側の部屋見てみろ。葬儀屋を開けそうだぞ」
「葬儀屋?」
「死体が一杯。それもぴっちぴちで繰るにはちょうどよさそうな鮮度だったぞ」

 ジェンセンはにやにやしながら、アイラの方を見た。

「パパ、思わず死体を操ってしまおうかと思ったよ」
「エリーシャ様、殴っていいですか?」

 思わず右手を握りしめたアイラを、エリーシャは手で制してベリンダの方へと目をやる。

「葬儀屋は死体を売る店じゃないだろうが」

 嘆息して、ベリンダはエリーシャとダーシーに一礼した。

「東の部屋を調べて参ります。ジェンセン、死体を繰るのはやめろ。お前にとっちゃいい研究材料だがな――行くぞ」
「あー、真面目に報告してから行くから、先に行っててくれ」
「おまえが真面目になるとろくなことがない」

 そう言いながらも、ベリンダは屋敷の中へと消えていく。