ダーシーは用意しておいた茶の席へと一同を誘った。ダーシーとエリーシャが向かい合って座り、アイラやベリンダやその他レヴァレンド侯爵家の使用人達が側に控える。

「あのね、ベリンダさん」

 アイラはひそひそと側にいるベリンダにささやいた。

「この屋敷に張り巡らせた結界とやらはどうなったんです?」
「ああ、あれ?」

 けろりとしてベリンダは言った。

「エリーシャ様が、あいつの頭を蹴り落とした瞬間に内側から破壊したよ」

 いつの間に! 少しも気が付かなかった。アイラは嘆息する。というか、踵落としが合図だったのか。

「で、今はどうなってるんです?」
「んー」

 ベリンダの視線の先では、ダーシーがエリーシャの手を握ろうとして、思いきり頭をはたかれていた。

「皇宮の魔術師は入ってない。あんたの親父がどこかにもぐりこんでいるはずだ」
「……あいつは役にたつんですかねぇ?」

 アイラは顔をしかめる。