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 招待状に書かれた日、エリーシャはアイラとベリンダを連れてレヴァレンド侯爵家を訪れた。

 馬車に乗っていたベリンダが嫌な顔をする。

「――なるほどね、これではジェンセンも手を打てないわけだ」
「どういうこと?」
「結界が張られている。これでは内部の状況を外から探索するのはなかなか難しい――外から破壊するのは労力がいる」

 ベリンダの言葉に、鼻の頭に皺を寄せたエリーシャは手にした扇で顔を仰ぐ。

「エリーシャ様、ジェンセンからは屋敷の内部に入ったならば、結界を破壊するようにと言われております」
「いいわよ、がんがんやっちゃってちょうだい。何なら屋敷ごとぶっとばしても」

 それはどうかとアイラは思う。屋敷ごとというのはいくらなんでもやりすぎ――いや、それより気になることがある。

「ねぇ、ベリンダさん。ひょっとして家の父が変なこと頼んだりしてません?」
「変なことってほどでもないけどね――アイラ。あいつは魔術師としては超一流だ。生まれ持った能力だけならな」

「生まれ持った能力だけって……」