エリーシャの方はきりっとした美人顔。アイラの方はどこか可愛らしい雰囲気がただよっている点が違うと言えば違う。

「鬘をかぶっただけで、これだけ似るんだ。手を加えれば、もっと似せることもできる。年も同じ――影武者には適役だろう? おまけに君は剣を使うこともできる」
「似てるっちゃ似てますけどね」

 どうして今まで気がつかなかったのだろう。鬘をかぶっただけでこんなに雰囲気が似るなんて――でも、とアイラは首を振った。

「わたしにつとまるわけ、ないじゃないですか。影武者なんて」
「大丈夫、何とかなるから――よろしくね、アイラちゃん」

 テーブル越しにゴンゾルフが手を差し出す。彼の指が太い、ということにアイラは気がついた。

 ぶんぶんと両手を捕まれて振り回されたまではよかったが――

「まだ引き受けるなんて言ってない!」

 アイラの叫びは二人に完全に黙殺された。

「とにかく、だ。君はエリーシャ様の侍女として後宮に入ったということになる。それも護衛侍女だ」

 夫とアイラを引き離して、イヴェリンは強引に話を進めることに決めたようだ。