正確には、騎士団の下にいる部隊になる。そちらに属しているのは、貴族ではなく平民だ。

「それと、皇女様ご自身でも動いてらっしゃる」
「そうね、個人的に使っている密偵に頼んだわ――最近、皇宮に出入りする貴族たちの間にセシリー教団に出入りする者が増えているのに気づいたから」

 エリーシャは素直に認めた。

「今頃パリィは教団に入り込んでいるはずよ。こっちから連絡をとるとは言ったけど――重大なことを発見すれば向こう側から連絡あるだろうから、まだ何もわかってないんでしょうね」

 ふむ、とジェンセンは顎に手を当てる。エリーシャはたたみかけた。

「セシリー教団とユージェニーのつながりは?」
「……それはないと思う。あいつが望むのは――自分のことだけだからな」
「自分のことだけって?」

 好奇心に負けて、アイラは身を乗り出す。

「あいつ、今、魔術師組合とは離れたところで動いてるんだよ」

 タラゴナ帝国内だけではなく、魔術師たちは基本的には組合に属することになっている。組合に属していれば、貴重な魔術書を閲覧する機会にも恵まれる。仲間たちとの情報収集もスムーズに行われる。