その夜、アイラはけたたましい悲鳴に叩き起こされた。

「この――! 変質者が! アイラ、ゴンゾルフ呼んできて!」
「ちょ、待った! 呼ばれたから来ただけで――!」

 その声にアイラは聞き覚えがあった。アイラは、慌てて明かりをつける。

「この時間にここに来るか、くそ親父!」

 床の上で頭を押さえているのはジェンセンだった。

 空中から現れたまではよかったが、着地した場所が悪かった。時期皇位継承者のベッドの上。剣を抜かずに鞘ごと殴られただけですんだのは運が良かっただろう。

「――だめだなぁ、アイラ。皇女様より起きるのが遅いなんて。パパ、殴られちゃったよ」

 頭をかきながら苦笑いしているジェンセンをアイラは思い切り殴りつけた――寝室用のスリッパで。

「何でこんな時間に来るのよ――」

 アイラはぼやき、エリーシャは寝間着の上にガウンを羽織って、ベッドに腰を落とす。