アイラはそれから二週間、床から離れることを許されなかった。新しく入ったベリンダを含め、エリーシャの侍女たちは後宮内をあっちこっち忙しく行き来している。

 アイラも早くその輪の中に加わりたいと思ったけれど、エリーシャに許されなかった。あれから二度、レヴァレンド侯爵の長男、ダーシーからは面会の申し入れがあったらしい。

 エリーシャは不愉快な顔をしながらも、「おばあ様が何を考えているかわかるかもしれないから」と、皇帝宮の中の一室で彼と過ごしたらしい。

 二度目に二人そろって庭園を散歩したのだけれど、手を握ろうとする彼の手をものすごい勢いで払い落としたというのは、付き添っていたファナの目撃証言だ。

 ファナとイリアは控え室の方に追いやっておいて、ベリンダはアイラの前に何冊かの本を並べた。

「やっぱり、死者蘇生なんだろうね」

 アイラの自宅から持ってきた本は、全てベリンダの手によってより分けられたのだそうだ。アイラは魔術に関しては素人だから、彼女が来てくれて本当によかったと思う。エリーシャの作業も楽になったことだし。