焼却炉に着いて、その周りにゴミ袋がたくさん積んであったからとりあえず便乗してそこへ置いて。

けっこう重かったと思うけど、やっぱり須賀は涼しい顔をしている。


「なんだよ?俺の顔になんか付いてんの?」

「べ、べつに……」

私はただお礼を言い忘れちゃったからタイミングをうかがってただけで。でもそんな言い方をするなら、ありがとうなんて言ってやらない。


「あ、野球部サボってんじゃん」

焼却炉からの帰り道。

少し開けた中庭へと続く通路で野球部の人たちが遊んでいた。正確には3組の男子。

うちの高校は野球部にも力を入れてるから、それなりに強いチームらしい。詳しくは知らないけど。


「ああいう道具がある部活はすぐに練習できるからいいよな」

野球部の人たちの手にはバットとボール。

それでキャッチボールをしたり壁に当てて跳ね返ってきたら打ち返したり。先生に見つかったら絶対怒られそうだ。


「須賀だって水さえあればできるじゃん」

「でも水溜まりじゃできねーよ」


……今すんなりと私〝水〟って言ったな。

嫌いなのは変わらないけど、どうしたって須賀は水を連想させるから。