「ゆっうきちゃんっ♪」

風邪もすっかり治ったあたしが学校にいって見たのは、ご機嫌な紀恵だった。

「お、おはよぅ。どうしたの?」

すると、待ってました!と言わんばかりに紀恵は話し出した。

「聞いてよ!な、なんと!ITSUKIのコンサートのチケット当たっちゃった!
いつもは大阪の方にいかなきゃいけないんだけど、全国ツアーやってるらしくてさー。こっちにもくるんだって!
それも!すっごい近い席!
ファンクラブじゃないと取れないぐらいの!
すごくない?!」

興奮気味に紀恵が一気に話す。

「へぇ、よかったじゃん」

「ちょっと、なに他人事みたいに話してんのよ!」

え?だって他人事だし。って言おうとしたら、紀恵の驚きの一言によって塞がれた

「優希も行くんだよ?」

「……」

驚きのあまり、声も出ないあたし。

「ちょっと聞いてますかー?おーい?優希ちゃーん?」

ITSUKIのコンサートにあたしも?

「はぁぁぁぁぁぁ?!」

「し、か、もっ、その日は優希の誕生日なのっ!一緒に出かけるって言ってたでしょ?だから優希に拒否権はなーしっ」