その時後ろから夕の声が聞こえた。 「遥汰くんに、瑠里華は渡せないよ……。 もう瑠里華の泣き顔は見たくない……。」 しばらく遥汰は黙ったままだったが 私を放すと言った。 「勝手だって……そんなのは分かってる。」 夕は遥汰を静かに見つめている。 「それでも……瑠里華を離したくないんだ。」 そう言うと遥汰は私の手を引いて歩き出した。 夕はそれを見て、何も言わなかった。 ……それから私と遥汰は近くの公園に入った。