姫香が目が覚めると、そこは野原の上だった。
(あれ?…ここは、どこ?)
辺りを見回してみても景色に見覚えはなく、人影もない。
「…姫、白雪姫。」
ふと声がした方に目を向けると、そこには
「……ゆ、悠里!?悠里…身体が、縮んだ?」
ポケットにおさまるぐらいの大きさになった悠里が、姫香の目の前に居た。
「白雪姫、…姫。私はどうやら、この世界の案内役みたいなの。
まず、この世界では姫の本当の名前を呼ぼうとしても、白雪姫と変わってしまう。」
小さな悠里が、姫香を見つめながら説明を始めた。
「姫は、今森の中に置き去りにされた所なの。置き去りにした人は、白雪姫の話の通り…動物、豚だったかしら?とにかく白雪姫の代わりの動物から心臓を持ち帰ったわ。
ここには七人の小人達が居るのだけれど、呪いがかかっていて小さな、小学生ぐらいの姿にされてる。」
「ま、待って!要するに、ここは童話の中の世界ってことね?出られる方法はあるの?」
説明してくれる小さな悠里に、姫香は尋ねた。