直後、姫香の頭の中で何かがブチッと切れた。
「……いい加減にしなさーい!喧嘩したら今日の晩ごはん抜きだからね!!」
その叫びを聞いた途端、雅と巡はピタッと固まった。
二人の頭の中には、晩飯>喧嘩 という方程式が思い浮かぶ。
ようやく大人しくなった二人を見て溜め息をつくと、姫香は立ち上がり、部屋の掃除を始めた。
「姫ちゃんさ、なんかお母さんみたいだよね」
ジッと見つめていた雅が本音を言った。
「――そうですか?…私、小さい頃にお母さん亡くしちゃって。
あんまり覚えていないから、嬉しいな」
姫香は雅を見つめると、柔らかく微笑んだ。
そんな姫香を、太陽はどこか寂しそうに見ていた。
その後、掃除が一通り終わると、姫香は抱き枕を作り始めた。
楽しくなってきたらしく鼻歌混じりである。
そんな様子を、三人はジィーッと座って興味深げに眺めていた。
